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2008年04月08日

カタクチの恩恵

カタクチといえば,カタクチイワシ,なんであるが,
でもその前に,この時期メバル話をせずには済まないワタクシにて恐縮。少しだけ。
サカナ料理がお目当ての方は冒頭読み飛ばしていただいても結構です。

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 季節外れの西高東低で北東ないし北西の強風。それが“刺激”となって出ました,産卵後の回復途上の茶メの♀。27㎝と28.5㎝をひとつずつの30分勝負。
3月中旬あたりでアミ食いを卒業して小カタクチに餌付いて浮き,表層よりちょい下で釣れ続いていた茶メの♂23㎝前後は,しばらくすると体力を取り戻して海の巷に散っていった。これはあとで追い詰めるとして,後に残ったのは表層で釣れる20㎝前後の青メの群れ。これはこれで順調に成長し,徐々に体型がフックラしてきている。

 そして3月下旬に入り,期せずして来遊したのはマアジの大群。25~30㎝ほどの幅広キアジが小カタクチに餌付き,先週はずっとこればかり入れ食ったのでオカズには一切困らなかった。嬉しくはあるが,この時期にこのサイズと体型,この釣れ方は,やはりおかしい。水温12℃でこの活性は何?
 そして今,一週間後の4月上旬,春特有の西から南にかけての強い風が続き,予想どおり,同じアジでも群れが代わって20~25㎝のヤセ主体が残るのみとなった。タイプもキアジに代わってクロアジ主体。メバルにせよアジにせよ,この時期,岸で育って沖に去りの繰り返し。次々と群れが入り,体力つけて,また去っていく。

 さてそろそろ散っていったオスメバルでも追っかけるかと思っていた矢先,期せずしてアチラの方から来てくれましたねえ,茶メの♀が。これは探す手間が省けたわいと思いたいが,そう呑気なことでもない。
回復のための接岸,といっても,茶メの♀はあまり大きな群れでは動かない。三々五々やってくる。ですから型は出ても数は出ない。今日そこにいれば釣れる,いなければ釣れない,ということで,余録みたいなもの。週単位月単位を見込んだ安定的なオカズにはならぬ。

 とはいえ♀だから,同サイズの♂よりも体格は良い重量級。2尾合わせて1㎏近い。
しかし,やっぱり途上は途上。肩から背の筋肉が盛り上がり幅広ではあるが,下処理をしていくと,腹皮はまだ薄く,腹腔内の脂は溜まっておらず,いささか寂しい。ヤセとは言いがたいが,今一歩。なんてゼイタクにも四の五の言うのは人間の都合,料理の仕立て次第で十分活きる。

 そして胃内容物は,表層にはカタクチがたくさんいるというのにアミ少々と大型のカニの幼生がたくさん。粒食ですね。これらカニのメガロパ幼生は,このところの暖かい日差しと雪解け水の栄養で急激に大量発生し成長したもの。プランクトンのわりにはけっこう遊泳力がある。

 図体がデカくても,やはり途上は途上。明らかに“食べやすいものから食べている”。
3月上旬にオスがそうしていたのと同じように。
こんなときの釣り方といえばやはり底かと思えば,いえいえ,必ずしもそうではない。誘い方も,♂の回復期と同じではダメだ。ちゃんと釣るためには,まず「餌の生態・行動」をよく理解しなければならない。明日の海が今日と同じとは限らないにせよだ。

時期に応じ,餌あるところにメバルあり,ではあるけれど,必ずしもそこに自分が求めるメバルがいるわけではない。ここが悩ましいところ。

 それにしても♂は,どこに行ったんでしょうね。今期まだ触っていない漁場がいくつもある。これだけ餌が湧きはじめたのだから,例年の安定漁場に付いてもおかしくないのだが。そこが今年の当地のおかしくおもしろいところ。この春,引き続き変則であるが故にまだまだ新規開拓の余地アリだ。

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さて本題。

 前々回のログで,「雪中のメバル釣り」について書いたのもつかの間,もう降りそうにありませんねえ,雪。 って,あれからもう1ヶ月以上経ったのデスネ。早いもので,春です。桜,咲いてます。

 でも,あそこに書いたとおり,まったく海は正直者。特に食物生態系の底辺に近いサカナほど,環境が少しでも合ってくれば間髪入れずに種として反応する。たとえばそのひとつが,2週間ほど前から湧いているカタクチイワシ。
なにかといえば,冷たい雨ばかり続いていた今年の冬であるが,2月中旬,雪がしっかり降って大山(だいせん)は2mの積雪を記録した。その1週間後,待てど暮らせど来なかったカタクチイワシがドッと押し寄せ,現在も続いている豊漁が始まったのだ。先週あたり,境港市役所には,一日1,000t超えを祝う大漁旗がハタめいている。まあ,オキもオカも,そんなしくみになっとります,ここでは。

 地元古老が指摘するとおり,雪解けが始まるやいなや,ここら沿岸の水は,雨の笹濁りとは違うトロンとした感じになってきて,これに春の日差しが加わると,これまで成長が遅々としていた沿岸性アミ類や,動物プランクトンの成長が一気に加速され,山陰沖のカタクチ来遊を誘発した。
まさに,絵に描いたような生態系の曼陀羅がここにある。


【 カタクチイワシに2型アリ? 】

 ところで,マアジにキアジとクロアジ,ウマズラハギに回遊型と瀬付き型があるように(少なくとも私はあると思っているが),カタクチイワシも当地には2タイプいるように思う。これは研究者の間でもほとんど報告されておらず,調査も進んでいないようであるが,外部形態,産卵・来遊時期,行動など,様々な面でちがっている。いずれは解明されねばなるまい。

 で,このところ境港で水揚げされているのは“外洋性”のカタクチで,15~18㎝ほど。適量の積雪があって,それが初春の陽気で徐々に流れて水温と栄養状態が安定してくると,毎年山陰沖にやって来る。
雪が降り過ぎたら低温続きになってダメ。かといって降らなかったら栄養不足。いずれもダメで,ちょうどよく降って溶けてこそ,春のカタクチイワシは湧いてくれる。天の采配が全てだ。

 生きているときの背中はインクブルーで,死ぬと黒褐色。だから別名「セグロ」ともいうし,アゴが目の後方まで長く伸びた大口なので,「タレクチ」とも「ヨタレ」ともいう。関東・東海では「シコイワシ」ともいうね。“シコ”はすなわち“干魚(ひしこ)”が語源か。
いずれにせよ,このところ揚がっているのは腹が銀白色でコロンと太り,例年ほどではないにせよ,産卵前の脂も乗せてきた。よしよし。 大きく太った大きなカタクチは,当地では特に「大(オオ)ダレ」といい,好きな人にはたまらぬ垂涎の的だ。

 もうひとつのタイプは,例年ならば晩春に,産卵のために中海(なかうみ:宍道湖と美保湾の中間にある汽水域)に入り込む極めて“沿岸性”の強い群れで,これは別種か?と思うほど外観も質も違う。毎日何十トンと獲れる外洋性のカタクチに比べて量的には少ないが,今年も美保湾沿岸に湧きはじめた。この沿岸性のカタクチは,外洋性が沖合を大挙して回遊するのに対し,半島を地づたいにやって来て,産卵のために中海に入る。

 外洋のものほど鼻先が尖っておらず,背は透明感のある黒褐色で,腹は銀なれど全体的に透けて見える感じ。肉は,外洋性のカタクチが透明感の低い赤身寄りの色であるのに対し,中海産は,透明感のある飴色をしている。
同じような沿岸性のカタクチは主に西日本各地の小湾に小さな系群として存在しているようで,瀬戸内海や四国沿岸,九州,特に長崎県の橘湾などには,かなり大きな沿岸性の群れが世代交代をしているようだ。


【 カタクチ2型とその食味 】

 地元の人は,よく,「まき網のカタクチはアタルけれども,中海のはアタラナイから大丈夫」と言って,中海で獲れた新鮮なヤツを手開きにし,氷水でサッとさらして水気をとって,酢味噌やショウガ醤油で食う。チリッとはぜた身がすがすがしい春の終わりの郷土味だ。イワシ特有の臭みは微塵も感じられず,ほんのり苦く,はかなく旨い。

 では,外洋性のカタクチがナゼに刺身でいけないかといえば,ひとつは腹皮の銀の濃さ。この剥がれやすい銀箔が雑菌を繁殖しやすく,劣化の原因となる。
 それから餌の違い。中海のやつは甲殻類の幼生など微少な動物プランクトンを食っているが,外洋性のやつは,外洋性のアミを主に食う。腹の中でピンク色になるアレであって,こいつは自己消化酵素が強く,サカナの腹の中で発酵分解しやすいため鮮度を落とすだけでなく,ごく微量の消化しにくいワックス分を含んでいるため,これを脂として蓄積した外洋性のカタクチを大量に生食いすると,その油脂分を消化しきれず人間サマは“クダル”のである。

 そしてなによりも,寄生虫「アニサキス」の問題。
外洋性カタクチイワシは,これの中間宿主であり,時期によっては全てに宿っているわけではないが,産卵期である春には特に多い。
 加熱して食うぶんには全く問題はないのだが,しかし生食となると別。以前,過去ログ「サバ味の深淵」でも書いたが,コヤツは強塩にも酸にも強く,手段は凍結するのみ。かといって,ただでさえ柔らかく小さいカタクチイワシを冷凍してから刺身にするなど,つみれの材料になるのが関の山。
当地のイワシッ食い達は,ここで悩むのである。が,あまり深くは悩まないようだ。旨いんだから食ってしまえ,アタったらアタッタ時だと,覚悟していて潔い。
 過日最近場のメバル漁場で出会って,たまたま手持ちのカタクチイワシをお裾分けした気のいい青年は,ボク二匹もやられましたよ~とニコニコ屈託ない。これ,カタクチの刺身を食った結果,二匹のアニサキスが彼の胃壁に食い込んだ,という意味なのだが・・・。それでも好きで食うというのだから,たいしたものだ。強者ナリ。

 一方先日,地元の小料理屋を営む若い板前が,ボクもアタりましたよ,でもおいしいからお客さんにも出してます,と涼しい顔をして言いやがったものだから,キサマは料理人なんぞやる資格なしと怒鳴りつけたところであった。
自己責任で,危険の可能性を知りつつも覚悟の上で食うならよいが,食の安全安心を第一義とすべき公職にある料理人がこれを混同するようでは,断じていけない。

 ともあれ今,境港はピンコピンコのカタクチイワシフィーバーで沸いている。値段も極めて安く,とれとれのヤツが15尾入ってひとパック100円。当然これを日々食わぬテはない。“海の肥やし”と言われるイワシだもの,人間の肥やしとしても上等に決まっている。

 というわけで今回は,これぞというカタクチイワシのお料理を4品ほど,世の“イワシッ食い”のために捧げたい。
仕上がりのポイントは,青ザカナらしさを壊さないように雑味をいかに抜くか,ということ。もっとも,多少の“生臭さ”はイワシッ食いにとっては“香り”に過ぎませんけどね! まずは下処理,これが大切。


【 カタクチの下処理 】

 目が赤くなっているもの,腹皮が破れているものなどは避けたい。できれば水氷に漬けてあるヤツがあればウレシイが,でもスーパーのパック売りでもいいものが入るときがある。目の周辺に透明感があれば良しとしよう。
いずれにしても,“たくさん料理してたくさん食べる”というのがイワシのいいところであるから,新聞紙を広げ,この上でドンドン下処理して,ザッと洗って,テキパキっと料理し,ワッと食べる,万事いかにシステマチックに進めるか,と,このようなサカナであります。 青魚の最たる部類ゆえに,下処理如何で味に大きな差が出る。摘要以下のごとし。

①ボウルに氷水を作ってひとつかみの塩を投じ,イワシを入れてガラガラかきまわすことによってウロコがとれる。
②まな板の上に新聞紙を数枚広げ,イワシを氷水からつまみ出してはドンドン頭と腹を切っていく。背を左,頭を向こうに置いて,頭を切り落としたら,そのまま頭から肛門にかけての腹側を5ミリほどザックリ切り捨てる感じで包丁の刃全体を使って押し切りすると,内臓もいっしょにとれる。
③この次が重要。細く出した流水の下で,内臓をとったあとの背骨沿いに溜まっている血液および腎臓(細く血の塊のように見える)を,歯ブラシの先で手早くこすり落とす。身が柔らかいのでサッと軽やかに手早くやる。たくさんあるのに面倒ではあるが,これをするとしないとでは,料理したのちの風味に大きな違いが出る,ということなのでヨロシク。
④これをボウルに戻し,2~3回水を換えて濁らなくなったら,ザルにあげて水気をきる。これで下処理完了だ。いたみやすいサカナだけに,万事,美しく速やかに進めていただきたい。


【 刺 身 】

 既に述べたように,ここで記すことは公共に馴染まないと思うので割愛する。旨いのですがね。
どうしても食いたいと言う人は,沿岸性のヤツを,手開きし,氷水でカラカラと洗い,ペーパーで水気をよくきって,醤油にショウガや柚胡椒で食うのがよろしい。ま,アニサキスの野郎と勝負してもよいという人は,外洋性のヤツだろうが何だろうが,どれを食っても結構。
わたしは,,,全て食いますね。家人やヨソの人には勧めんけど。自分だけが食う。


【 塩イワシ 】

 カタクチイワシの,その味の真実・真髄を味わうのに,この「塩イワシ」に勝るものナシ,と断じて言わせていただく。素朴にして滋味。食えばワカルとはこのこと。新鮮なカタクチが手に入ったときには必ずつくる一品だ。なお,過去ログ「サバ味の深淵」で紹介した塩サバをつくるときの“紙塩”の技法は,カタクチの場合には小さすぎて向かない。以下のようにするのだ。

①下処理したイワシをボウルに入れ,粗塩ひとつかみをバサッとあてて,ザックリかき混ぜておく。しばらくするとイワシが脱水して水分がにじみ出てくるので,時々上下をかき混ぜながら,小さいイワシなら5分,大きなイワシなら10分ほど置く。
②ザルにあけてボウルの水で振り洗いして塩粒を落としたら,ボウルの水を換えながら濁らなくなるまで2~3回手早く洗う。
③ザルにあげてしばらく水を切ったら,タッパーかバットにキッチンペーパーを数枚敷き,イワシの腹を下向き(背を上)にして密に並べ,その上からもう一枚ペーパーをかぶせ,軽く押しつけておく。たくさんあるときは,更にこの上にイワシを並べ,一番上にペーパーをかぶせて同様に。このままラップか蓋をして冷蔵庫で一晩寝かせる。
④翌朝から焼いて食える。生のままでの保存期間は3日程度が妥当。たくさんつくったらあらかじめ冷凍しておくのがよろしい。そのとき,一本ずつはずしやすいようにするためには,ラップを大きく引き出し,1~2㎝間隔くらい離してイワシを並べ,これを手前からイワシごと巻いていく。つまりこれを横から見ると,鳴門巻きの渦巻き状にイワシが間隔を離して分布している太巻き状態ができあがるわけだ。これをジップロックに入れて空気を抜き,冷凍すればよい。賞味期間は家庭用冷蔵庫の冷凍であれば1ヶ月。焼くときは太巻きの一番外側から一尾ずつはがし,解凍しないでそのまま焼けばよい。生・冷凍,いずれも強めの中火で両面の皮目がじりじりと香ばしくなったら焼き上がり。これが食べ頃だ。骨まで食える。


【 特 記 】 塩イワシとサツマイモの相性について

 こうしてつくった塩イワシは,当然のことながら炊きたての銀シャリと最高に合う。湯気と共に立ち上る米の甘い香りを,鼻孔経由で胸いっぱいに吸い込みながら,“メシ・時々イワシ”でハフハフと食い進むのは一種の愉楽ではある。が,しかし,もうひとつおすすめしたいのは,ふかしたサツマイモと共に食うことだ。
 私が長崎県野母崎で従事していたシイラ漁船の船長:岩永善市氏は,若かりし頃,巻き網船の本船の船長で,アジ・サバ・イワシなど青ザカナを獲って生活していた。彼だけではない。戦後長らく,野母崎という東シナ海に突き出た長い半島の先端にある小さな漁村全体が,まき網で獲れる青ザカナに生活を依存し,大漁景気に沸き返っていた時代があった。
 しかしサカナと金があったところで半島には米を作れるような土地はなく,家ごとに斜面の段畑に植えるのは,麦であり,なんといってもサツマイモであった。

サツマイモといえば,,,
 古くは江戸期,8代将軍徳川吉宗の命により飢饉時の救荒食として,青木昆陽が当時琉球から鹿児島・長崎に伝わっていたサツマイモの栽培を試み奨励した結果,これがのちに全国に伝播したということになっている。本来の呼称は「琉球芋」,徳川絡みとなってからは「薩摩芋」だ。
事実,おかげさまで当地境港もかつてこのイモに救われており,これと地曳き網で豊漁する美保湾のイワシのおかげで,餓死者を一人も出すことなく現代に至る。当地に今でも残る「浜の芋太」の蔑称は,その恩恵にあずかれなかった他所のヒガミが生んだ産物であろうか。
 更に遡れば,15世紀,かのコロンブスがアメリカ大陸からこれを持ち帰り当世イザベラ女王に献上したのが記録の最初。当時悪魔のイモとも呼ばれていたが,彼女は自らこのイモの白い花を髪に挿し,救荒作物として普及に努めたとのこと。その後,サツマイモを世界に広めたのは植民地・貿易港を求めて大航海をした列強スペイン・ポルトガル等であったというのは皮肉か恩恵か。その延長に我が国のサツマイモはあるのだ。人類の歴史は何が幸いするかわからない。全ては結果だ。

まあそのサツマイモ。
 野母崎で居候していた岩永船長宅では,新鮮なイワシが手に入ると塩して干し,これを焼いて,ふかしたサツマイモと合わせてよく食べた。「こがんもん,君らにはおいしゅうはなかろう?」と目をのぞき込み問いかける船長と奥様と共に,網仕事の合間に食うイワシとイモは,実にしみじみ旨かった。秋の高く晴れ渡った空の青と,イモの甘みとイワシの塩気が調和すると,なぜだか強烈に懐かしい旨みを醸し出す。
 今でも私は,思い出したように塩イワシを焼き,ふかしたイモと共に弁当とする。旨いのも事実であるが,今の裕福な日本がこのような食でしのいだ結果としてあることを,味わい確かめる咀嚼でもある。このような味を,私は子孫に伝えたい。

 余談であるが,野母崎では,サツマイモの茎,すなわりイモヅル(芋蔓),もよく食べた。フキのようにツルの皮をむき,水に浸してアクを抜いたら5㎝程度に切り揃え,キンピラや煮物にしたりするのだが,なんといっても旨いのは“焼きウドン”である。少量の豚バラで脂を出したらイモヅルを炒め,ウドンを入れ,醤油少々で味付けしたら,最後に鰹節を振りかけて食う。ほのかに甘いカラメル似たイモの香りのするイモヅルは,その快感たる歯ごたえもさることながら,ほかの野菜にはない郷愁味がある。初めてなのに懐かしい,という味だ。


【 カタクチの梅煮 】

 塩イワシと梅煮は,我が家ではセットみたいなもので,新鮮なカタクチが手に入ったら必ず作る。保存性も良く,両方とも仕込んでおけば1週間は毎日幸せに暮らせる。朝にイワシ噛み,夕にイワシ噛み,それぞれの料理を気が向くままに食い分けたり,共に食ったり。酒を飲んだり,飯を食ったり。

 梅煮にした甘酸っぱく旨みたっぷりの肉を噛みしめるとき,なんだかしんみり静かな気持ちになってくるので不思議。甘ずっぱいから恋の味,というわけではない。なぜならどう逆立ちしたってイワシだもの。
いずれにせよ,たとえば塩イワシが,新たな今日を始める“動”ならば,梅煮は頑張った今日を終える“静”の味世界をもっている。
 両方がなくなるころ,また次のイワシを仕込むのだ。梅煮は作り手によっていくつかの作り方があるが,当家ではこんな感じ。通常の料理本などと違うところは,ショウガと梅の香りと旨みを煮汁にしっかり移すために,火をつける前にこれらを入れてしまう点だろう。コレが料理の理。

①たっぷりのショウガ,できれば春の新ショウガを薄く皮をむいて半割にし,1~2㎜厚に切っておく。
②浅くて広い鍋,もしくはテフロンのフライパン(これが重宝する)に,酒と半量の水をイワシの太さ程度の深さに注ぎ,これにミリンを加えて若干甘めに仕立て,ここに切ったショウガおよび梅干し(できれば調味料が入っていないもの)3個程度の身を指先でつぶし,種ごと入れ,火をつける。加減は強火。
③沸き立ってアルコール分が飛んだら,薄口醤油を注いで適宜に調味し,再度沸かす。味の加減は,“甘酸っぱく旨くちょっと濃いめの醤油味”。
④下処理したカタクチを,重ならないように,しかし密に並べていく。火は強火のまま。
⑤煮泡が立ち上がるほどに青魚特有の茶色のアクが浮いてくるので,吹きこぼれないように火を微調整しながらそれをすくいとる。
⑥アクがほとんど浮かないようになったら,鍋の口の同大のアルミホイルの中心に包丁先で切れ目を入れた落とし蓋をかぶせ,更に強火の立ち上がる泡で,ただし吹きこぼれない程度に微調整しつつ,煮進めていく。イワシ全体に泡が回るように落とし蓋を調節してやる。煮上がりまで約10分ほど。
⑦煮汁がわずかになって泡が少なくなったら火を止め,そのまま冷ます。

 冷ますとはいえ,ここで,煮上がりできたての熱いヤツを数尾小皿にとり,ぜひとも味わってもらいたい。冷めたのとはまた違う,酒をそそるぬくもった旨さを知っておいてほしい。下戸の方は,とりあえずご飯でもドウゾ。

 ショウガを入れたのは,過去ログ「サバ味の深淵」で述べたと同様,臭み消しではない。イワシから出た濃厚な旨みと,梅干しと酒・ミリンが合わさった甘酸っぱさをたっぷり吸ったショウガそれ自身が旨いのである。だからたくさん厚めに切って入れるのだ。

 風味が最もいいのが3日間くらいまで。タッパーに入れて1週間程度は冷蔵庫で保存できるが,次第に脂の酸化臭が出てくる。当然食べても問題ない。
これを生臭いとするか,青ザカナの香りととるか,それが年期や文化の分かれ目なのかもしれない。


【 カタクチの天ぷらおよび天丼 】
 揚げたてのカタクチイワシの天ぷらを,山盛りにして出してくれる店があったなら,私はその店に生涯通い続けるであろう。というのは私の本音。
旨いが,しかし手間がかかり,原価が安くて値段も取れないし日持ちもしない,しかしやはり抜群に旨い。そんなものを結局手間かけてたっぷり気さくに出してくれる,そんな店は間違いなく“心ある”店だ。境港には一軒だけあるのが救いだが,それも頼めばの話。昔から行きつけの、東京は門前仲町の古い飲み屋では,これをサッと出してくれる。その気になれば,やれるのだ。

 いつから料理店は,このような飾らないおもてなしの心を忘れたのであろうか。
ま,しかたないのでウチでつくるわけですよ。青ザカナの注目要素であるDHAは揚げると半減するといった研究報告もあるけれど気にしない。やはりここは,旨いが一番。ご家庭の皆様に,ぜひこの味と心を伝えてあげてくださいまし。

①ボウルに水少量と氷を数片入れ,ここに鶏卵1個を落とし,よくかき混ぜ,冷たい“卵水”を作っておく。
②ここに薄力粉を適量,練らないようにザックリと混ぜ合わせておく。多少粉ダマが残っているくらいがちょうどいいのであって,それ以上練ると衣の間から空気が逃げてしまう。天ぷらとは,熱い油と冷たい衣の温度差,そしてそこに含まれている空気の作用によって,きれいにはじけ,カラリと揚がる,「水と油と空気と熱の総合芸術」である。
③下処理したカタクチをこれにくぐらせ,中~高温(油に箸先で衣を落としたときに一瞬浅く沈んですぐ浮き上がる程度)でカラリと揚げる。菜箸でつまんでみて,小さな振動が伝わってくれば,揚がったというサイン。
④アツアツの揚げたてを山盛りにして,塩でよし,天ツユでよし,思う存分ひたすら食い進めばよい。

さて,
この“カタクチ天”をやるときに,もうひとつの楽しみは天丼だ。なんだ天丼かといえども,キスやアナゴやエビやらの天丼とは,ちょいと世界が違う。味に力があり,一線を違えた方向性をもっている。まずは食ってみることです。

 ここでつくった天ぷらを,少し残しておく。野菜がほしければ,ナスやシシトウなどをついでに揚げておけばよい。ただしゴタゴタいろいろ入れてはイワシ味を損なうのでいけない。
さて翌朝,天つゆに醤油をミリン少々を足して若干甘辛目に仕立てたダシを沸かし,ここに昨晩の天ぷらを浸してしばし煮て暖めたら,これを炊きたてのご飯の上に密に乗せ,これまた朝からガッツリとかき込むのである。七味や山椒少々を振ってもよろしいし,「さらしネギ」などこんもりあると,なおよろしい。このカタクチの天丼には,他の天丼にはない野趣がある。
むろん翌日まで置かずとも,同様にして酒後のメシとするのも,いいですぞ~。

 あ~,ホントに。黙っていてもこんなことして食わせてくれる店,ここらのどこぞにないもんかね。


【 自家製オイルサーディン 】

 あの,缶詰にありますよね,“オイルサーディン”というのが。
タバコ2個分くらいの大きさの平たい缶で,付属の缶開け器具でクリクリギュッギュと上蓋を巻き開けていくと,かわいい無頭イワシがハーブの香りのする油にキラキラ浸って二段にズラズラっと並んでいる様は,山小屋で彼女とワインとロウソクの灯りなんかが似合ったりして,イワシなのにいかにも高級品,という感じでステキでした。
「でした。」というのは,最近はプルリングというのでしょうか,開缶がペコッ,メリメリっとはがすひと昔まえのジュース口みたいな方式に変わり,あれで大切な要素を失いましたね。便利さは情景を失わせてしまうのです。
 
 ま,そのオイルサーディンを自分でつくってみましょうや,ということであります。別に山小屋や彼女やワインがなくたってかまわない。原理は簡単。塩する→油で煮る→油に浸したまま保存,以上。

これは,実に理にかなっている。
 まず塩をして水分と共に生臭みを抜き,“油で煮て”骨まで柔らかくし,油に漬けて空気を遮断することによって魚油の酸化およびそれによる生臭さの発生を抑える。というわけだ。味のみならず,まさにその合理性がスバラシイ。
 合理主義と言いつつ矛盾だらけの西洋にも,このような,つましくモノを活かす合理性があるというひとつの証明だ。肉食文明ばかりが西洋ではないと嬉しくなる。
 余談であるが,地中海辺りの屋台の炭火で焼いて食わせてくれるイワシやサバ。西洋でありながらこの素朴で美しい滋味を知っているのは,イタリア人が筆頭であろう。飾らず陽気で時に朴訥。そのような甘く酸っぱく時には苦い“人生を噛みしめる風土”から,オイルサーディンは生まれたと推察する。

 
 ところで“サーディン”とはナニカ。イワシ,には違いないのだけれど,英語でマイワシはPilchard(ピルチャード),カタクチイワシはAnchovy(アンチョビー)。
 まあサーディンとは,ラテン語のSardinas(サルディナス),すなわち,小型のイワシ類の総称,と言って差し支えないであろう。ということで,作り方を。

①ボウルに白ワインと同量の水を入れ,これに粗塩を加えて海水より少し薄い程度の塩水を作る。
②下処理したカタクチの水気をザルできり,この調味液に1時間ほど浸す。
③手早く2~3回水洗いしてザルに上げ,面倒でも一尾ずつ水気を拭いておく。ここまでは塩イワシとほぼ同じ。
②浅い鍋もしくはテフロンのフライパンにイワシを密に敷き詰め,粗挽き胡椒を振り,あるいはオレガノや唐辛子など好みの香辛料も振り,つぶしたニンニク1~2粒分とレモンの薄切り数枚を乗せ,最後にロリエ(月桂樹の葉)1~2枚を乗せる。レモンの変わりに乾燥したレモングラスの切ったのを数枚入れても香りが良い。
③ここにイワシが薄くかぶるくらいにオリーブ油もしくはサラダ油を注ぎ,弱火にかける。
③徐々に油の温度が上がると泡が出てくるが,これが緩やかにフツフツと生じる程度に火加減する。温度を上げすぎてはいけない。温めるが如く、煮るのである。
④この状態を維持しつつ,蓋をして約40分ばかり,煮続ける。
⑤できあがったらそのまま鍋ごと冷まし,イワシを取り出してタッパーに密に並べ,残り油を注ぐ。なお,この油には香辛料の香りやイワシの旨味だけではなく“イワシ臭”も移っているが,これまた風味とするか臭味とするかが分かれるところ。嫌いな人は,イワシだけタッパーに並べたら,新しい油をひたひたに注いでおけばよい。
出来上がりをすぐに食べるよりも,最低一晩寝かせてからのほうが味がおちついて旨いように思う。

 ここで使用する油はオリーブ油のほうが酸化しにくいのだが,ちょっと風味が強いので好きずき。
出来上がったら,冷蔵庫に保存するようにし,たとえば食前に数尾出してはウイスキーやワインなど飲むもヨロシ。スライスしたタマネギと共にプレーンのクラッカーに乗せても良し,むろん飯をこれで食っても悪くない。ただし飯のオカズにするときには,醤油をひと垂らしすると,いいですねえ。

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とまあ,こんな具合なので,中期保存食としてゼヒ。
まずは,いかに鮮度の良いカタクチイワシを入手するか,ということが最初の課題。住む場所違えば海への遠近,いろいろあれど,なんとか工夫して頑張ってみてくだされ。ヤル気になれば,カタクチの産直,なんてのもアリかもよ。


【 カタクチイワシの育児における効能 】

 ついでに申し上げると,カタクチイワシは「離乳食および食育によろしい」というのも,特に現代社会においては魅力のひとつ。イワシ類の中でも特にカタクチイワシがいい。マイワシではちょっと大きすぎるし,風味がキツイのだ。
 
 具体的に言いますと,たとえば、アナタに1歳と3歳と5歳になる3人の子供がいたとする。
晩メシのオカズに塩イワシを12尾ほど焼く。オヤジはこれの2匹ばかりで冷や酒を飲みつつ,脇でコドモ達のご飯をよそうニョーボに言うわけだ。「イワシの身をほぐしてご飯に混ぜ与えよ。」と,1尾をとってやる。

 そこでニョーボが箸先でイワシをちょいといじると,骨と身はハラリと分かれるので,刻んだ野菜を入れて柔らかく炊いた飯にその身をほぐし混ぜ,1歳の子に与えたのであった。カタクチの身は,カルシウム・ミネラル等青ザカナとしての滋養を持ちつつ比較的白身に近いので,離乳食には大変よろしい。

 次にオヤジは,3歳の子の小皿にイワシを2尾ほどつまみ入れ,かつて長男にそうしたように「上手に骨をはずして食べなさい」と指示する。するとその子は,手づかみでかぶりつくのだが,なんとか舌を使って骨を出そうとする。カタクチの骨は実にシンプルで,仮に飲み込んでもノドに刺さるようなことはないので安心。サカナッ食いとしての初期修練の教材としては最適である。

 それを注視しつつ最後にオヤジは長男の皿に2尾のイワシを箸でとってやり,「骨ごと食えばおいしいからしっかり噛んで食べなさい」と言い渡す。その子は,ニコニコバリバリとイワシを噛みつつ,メシをほおばるというわけだ。こうしてアゴが強くなり,骨組織が増強されていく。これでサカナッ食いの初級は卒業。

12-(2+1+2+2)で残りが5尾。
 あとはオトナの分,ということでオヤジ3尾ニョーボ2尾でメシのオカズにするわけだ。小さなイワシ12尾の支える食卓の風景と教育の現場がここにある。そしてこれは,サカナッ食いの原点でもある。上の子が小学校にあがったら,カタクチイワシの自然界における役割を教えてやらねばなるまい。そしてその子は生涯食いながら,生き物としての自分の位置を学んでいく。

 カタクチの何がいいかといえば,まず第一に,カタクチはその小ささゆえ「全体食」ができること。青ザカナとはいえサバほど大きくなく,シラスほど小さくない。肉の味も濃からず薄からず,骨も適度な堅さで,適度なサカナ臭もある。このバランスが入門にはちょうどよい。

それともうひとつ大切なことが。
 カタクチは,食物連鎖の底辺,プランクトンのすぐ上にいるサカナだから,重金属や環境ホルモンなど有害物質の蓄積が極めて低い。対して高次のサカナ,たとえばメバルやスズキ,イカ類やマグロやサワラなど,有害物質をごく微量ながらも体中にもつ小魚類などを多食するサカナを食えば,これらの物質は集積されて高い濃度となる。これを食物連鎖による「生物濃縮」という。この連鎖の中に人間も含まれている。
 特に,同量の有害物質が食物として体中に入った場合,体の容量に対する抵抗力および解毒力を考えれば,当然ながらオトナよりも小さいコドモのほうが小さいわけで,負担が大きいのは明らか。しかも細胞が最も急速に増殖成長する時期に,濃度の高い有害物質を与えることは,子の将来に対して無責任といえる。子だけでなく,更に子の子まで影響が出る可能性もある。つまり遺伝子レベルの問題なのだ。

 であるからして,世の親御の皆様,オトーサン釣ってきたからおいしいねえ,などと言って,乳幼児にスズキやマグロやサワラやイカなど魚食性の中・大型魚を「多食」させてはいけない。あれはオトナの食べ物だ。
いや,オトナといえども状況次第ではいけない。これから子を作ろうという女性,あるいは現在腹に子を抱える母の皆様も,要注意。母自身は大丈夫だったとしても,母体から胎児ないし乳児へは,ヘソの緒や母乳を通じて,まさに「生物濃縮」が起こるからだ。

 斯様な観点からも,カタクチイワシはたいへんありがたいですね。

 このカタクチイワシで魚食いを入門すると,サカナの味と食べ方に対して極めて速やかに理解を深め慣れていくだけでなく,今後出会うであろう多くのサカナに通ずる汎用性が身に付く。その延長のには,タイやイサキやフグ,果ては酒盗やコノワタ,へしこサバやクサヤやフナ寿司などの,サカナ味の深みが待っている。
つまり,食物の形態に対する順応と対応,味の多様性に対する感受と受容,これらが柔軟に育つということだ。

ま,ご参考まで。

******************************

それにしても,ナンですな,
こうして冬から春を迎えて今年もイワシにありつけるということは,要は毎年,山陰の雪と森がもたらした栄養を,間接的に摂取しておるわけですな。

焼きたての塩イワシを,まだ肌寒い春の空気と共に噛みしめれば,なんだか大地の香りさえするような。清冽なせせらぎを育む中国山脈よ,ありがとう。

ホント,今年もいい季節になりました。



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Posted by ウエカツ水産 at 16:06│Comments(13)魚・釣・料理
この記事へのコメント
ご無沙汰してます。勉強になりました。って言うかカタクチ鰯が食べたくなりました!(笑)今から買いに行きます!!!(笑)
またお邪魔しますね。
Posted by イルカ師 at 2008年04月08日 16:28
to:イルカ師さま

お,久しぶりだね,元気にしてた?
今日もウチはカタクチイワシであるが,いよいよ産卵前の脂がポッテリ乗ってきて,いやー,これは,旨いねえ!

メバルはといえば,オカズが足りている以上,動きを把握するだけの調査にとどまるというわけよ。動向はつかめているけど,安定供給にはもう少し待たねば。

粘れば釣れるものの,そうもいかん。毎年,この「移行期」が,一番悩むときだ。日々キッパリした判断が求められますね。
Posted by ウエカツ水産 at 2008年04月09日 19:52
いつもお世話になってます。
私もカタクチが食べたくなりました。
オイルサーディンが好物なんですが、内洋性であれば刺身にもチャレンジの可能性が・・・、とあれば探してみたいですね。
Posted by ヤマトシジミ at 2008年04月10日 07:48
to:ヤマトシジミさま

昨日は長いコメントでお騒がせしました。
同じマアジでもキアジ型とマルアジの区別は極めて明確ですが、クロアジ型とマルアジの区別は、クロアジ型の個体差が大きく、ゼイゴの数やカーブ具合などでの判別は難しいときが多々あります。結局決め手は尾柄部の小離鰭の有無、ということになります。掲載された写真では尾柄が値札で隠されていて離鰭は見えませんが。

でも、図鑑には載っていないもうひとつの見分け方が実はあるのですよ。
それは、目。
アジ類は夜間に微少な光を感知するため、眼底にパペータムという感光組織をもっています。よく深海に棲む魚類の目が底光りするのはそのためです。
で、アジ類もこれをもっていますが、マアジの仲間では光りかたが弱く暗白色、マルアジを含むムロの仲間では、光りかたが強く少しピンクがかっているのです。大げさに言えばルビー色。
こんどお買い求めになった折りには、角度を変えてぜひ見てみてくだされ。
ま、我々庶民にとっては所詮、うまけりゃいいや、ということで、分類は二の次なのですが、南方系のマルアジが増えてきているとなれば、やはり海の状態が気にかかりますね。

オイルサーディンは、凝ったもんではなく、家々の味がある素朴な保存食。手軽にチャレンジしていただきたい。

中海に入るカタクチは、今年はまだ美保湾で成熟待ちの様子。今に入ってくるでしょう。ドッと入って産卵したらサッと出てしまうので、情報をつかんでおいて下さい。
Posted by ウエカツ水産 at 2008年04月10日 11:30
はじめまして。
カタクチが最近、近所の魚の美味しいスーパーで出回ってたので
この要領でオイルサーディンつくってみます♪

オイルサーディンに醤油を一滴たらすの!私も大好きです!
特に由良町「檜屋」のさしみ醤油は甘草が入ってて♪年代モノのバルザミコみたいなニュアンスがあって1滴垂らすと、とても美味しいのです^^
Posted by おもしろ夫婦(妻) at 2008年06月08日 10:55
to:おもしろ夫婦(妻)様

はじめまして,いらっしゃいませ。
オイルサーディンは,多少鮮度が落ちたものでもOK。
自家製で,あの味が,これだけできるかと思うと,作らぬテはございません。

醤油,由良町,とくれば,和歌山でしょうか。
醤油どころですもんね。

たしかにオイルサーディンには,レモンの数滴,および甘めの醤油ひとたらし,これは合いますねえ。おみごと。
私は基本的に混ぜモノが入った醤油は使わない方ですが,やはり活かしようですね。

このところ更新もままなりませんが,ご容赦を。
Posted by ウエカツ水産 at 2008年06月09日 20:29
久しぶりです。単身赴任の身ゆえ、返信が遅くなりました。
最近は無益な(?)殺生は慎み、手近な山などで遊んでいますが、間もなく訪れる‘アユの季節’だけは別格です。
ブログの最新記事を読みましたが、なかなか読み応えのある内容ですね。性格上、つい細かな突っ込みを入れたくなるところもありますが、相変わらずの語り口、懐かしく感じました。また時々覗かせてもらいます。
ちなみに、当ブログへの書き込みは実名があったので、削除させてもらいますのであしからず・・ (^^;
Posted by T-ke@IWATE at 2008年06月14日 11:27
to:T-keさま

ようこそいらっしゃい。
十数年ぶりかで再びつながったというわけだ。あ、単身赴任中ね。

“無益な殺生を慎んでいる”わけではなく、釣り魂半分“カメラ”にとられちゃってんじゃねえの~???
写真といえば、貴兄とは別の意味でタマシイの入った写真を掲載しておられる瀬戸内海のFFFさん。ぜひHP覗いてみてはいかが。釣りセンスもなかなかにステキですぞ。

それにしても、「写真」とは、、、「人」が出るもんだねえ。
貴兄のキーは、その変わらぬ人格の語るとおり、「美しい」だ。
時として、美しすぎるかも。
ワシなんか怖くて恥ずかしくて情けなくて・・・、とても撮れない絵だな。

>ブログの最新記事を読みましたが、なかなか読み応えのある内容ですね。>性格上、つい細かな突っ込みを入れたくなるところもありますが、相変わら>ずの語り口、懐かしく感じました。

この手段が手っ取り早いということでブログになったのだけれど、ごらんのとおり、名ばかりですね。ほとんどブログではありませぬ。
つっこみ? 歓迎。 入れられるのなら、ドンドンお入れなさい。

実名の件、いまだこの世界の勝手がわからずゴメンゴメン。気をつけます。
ではまた、6月いっぱは多忙につき更新もままならないが、お待ちしております。
Posted by ウエカツ水産 at 2008年06月16日 11:42
ご無沙汰しております。

こちらにコメントして良いのかどうか・・・


ブログの再開を心待ちにしている一人です!
最近はアジに脳味噌吸い取られ、ぶっ飛び釣行繰り返してますが、ようやくイカが機能し始め、本来の姿に戻りつつあります(笑)


さて、今期は初となりますが半島へメバル狙いで出撃です♪
Posted by FFF at 2008年11月05日 00:32
あっ,FFFさん、お懐かしい。
ホントにご無沙汰しております。
多忙にかまけてあっというまに半年更新ナシ、となってしまいました。時流は思いのほか早いものです。

書くのも習慣なら、書けぬのもまた習慣?とかなんとかで恐縮。
もうスグです。11月中旬を過ぎさえすれば・・・

ところで、
今年もまた昨年以上に変則的な海でしたな。
春~初夏はイカナゴ湧かず、初冬現在も沿岸のシラス発生が遅れていて、メバルもやせてますな、少なくとも美保湾界隈では。肩が違う、背が違う、食べて違う。

半島の磯はどうなのでしょうね。
今期も始まった現在の境港界隈は、気象・海況・潮汐・時間帯を絞ればちゃんと釣れるという状況ではありますが、この時期としてのサイズは例年並み(18~25㎝)としても、肥満度は例年とは比べるべくもなし。つまり、現状の釣りは、移動経路や成熟度、餌発生状況等の調査にはなるけれど、オカズとしては「いささか難あり」、ということであります。

今年の梅雨から夏にかけて、友人に誘われ何回か磯(初磯)に行ってみましたが、数も型も出たものの、肥満度からみればバラツキが激しく、いわばコンスタントに餌を摂れた勝ち組と、摂れなかった負け組の存在が浮き彫りになったようでした。そしてそのバラツキの傾向は、3型で違っており興味深いことでした。また詳細書きます。

アジのルアー釣りは最近えらく流行っているようですが、なんといってもサビキ以上に安定した型を手返しよく釣るのはワームに限りますね。
くだらない話かもしれませんが、アジのワーム釣りは、けっこう竿の選択が難しいと思いませんか? なにやら最近は専用竿なども開発されているとか。たかがアジごときに、とも思う反面、アジに泣かされる場面もたしかに。

ご存知かもしれませんが、最強の竿があります。それはプロックスの「根魚小僧7ft」。 もう製造終了になっているかもしれませんが、どこかで見つけたら、ダマされたと思って即買いオススメ、です。コンパクト携帯竿でプロックスならでは、それなりの廉価です。
しかし、「いかなる食い渋りのアジでも掛けてしまいます」、と言っていいほど、すいすいとアジが食い込みます。その度合いは、ソリッド穂先を凌ぎ、釣り落としが激減し、短い時合でもあっというまに数が獲れて、ハイ終了、となる理想的アジ釣りスタイルの実現です。早春の底アミ食いのメバルにも絶大なる効果を発揮します。道具の機能は必ずしも値段じゃないですねえ。

ただし、底物に使って根掛りを竿であおったりするとあっけなく『折れたり』しますがね。実はわたくし、二本目です。安物に無理は禁物であります。

とりとめもなきことながら、とりいそぎ。
ではまた。
Posted by ウエカツ水産 at 2008年11月10日 02:37
そんないい竿があるのですね!
今度使ってみます。
ちなみに僕が使用しているのはド定番のウエダTFL-63EXという竿です。
かなり好みです(笑)値段が張ったんですが、飛びおりました(笑)

今週末半島出撃予定です。天候次第ですが。

いずれにしても返事いただけて何よりです。
ご無事が確認できただけでもうれしゅうございます♪
Posted by FFF at 2008年11月11日 12:01
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Posted by donkey at 2010年05月06日 15:24
今日は千葉県の調理師の講習ありがとうございました。普通ならお会いできない先生にお会いできましたのに、最後に質問ができずとても悔やんでいます。給食で働いていても、主婦としてはおろかで、子供たちにお魚の美味しさを伝えられていないと思います。お話しをうかがって、反省するばかりです。間近でお会いして、がつしりしてとてもすてきでした。他にお便りてきるところがわからずこちらにさせていただきました。今日は貴重なお時間を本当にありがとうございました。
Posted by 寺島と申します at 2015年11月26日 16:19
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